ヨーロッパで注目され、最近日本でも聞くようになった「ダウンサイジングコンセプト」という言葉がターボの人気を押し上げています。このコンセプトをざっくりと言えば、今までより小さなエンジンを搭載することで自動車の燃費を向上させるという考え方です。元来、ターボは出力向上を目的として採用されていました。それがなぜ、今、燃費向上の切り札として注目されているのでしょうか?
目次
ターボは同じ排気量なら馬力やトルクなどの性能が大幅にアップする。
今までのエンジンより小さなエンジンで同じだけの性能が期待できるということなのです。
この日本では、このことがちょっと違った面からユーザーにとってメリットがあります。
それは税金です。日本でターボといえば軽自動車に沢山搭載されています。ターボを使えば同じ排気量のエンジンでも性能がアップします。軽自動車なら、660ccでありながら1300ccくらいのトルク性能が発揮されます。
つまり、軽自動車の税金で1300ccの性能の車に乗れてしまうというです。これが大きなメリットになります。同じように1500cc以下の税金で1800cc並みの車に、2000cc以下の税金で2500ccの車と1ランク上の性能の車に乗れてしまうのです。
1980年前後から日本では一時期、ターボの人気が高まった時代があります。この当時のターボの考え方も現在と同じく、小さなエンジンで高出力というのが目的でした。その為、ターボはその車の一番大きなエンジンには搭載しないという時代がありました。その後パワー競争が始まり、GT-Rなど280馬力ものパワーを発揮する大馬力の車がたくさん登場しました。
なぜターボは省燃費に効果があるのか?
技術の向上により燃料の制御や機械部品の小型化が可能になったからなのです。
「ダウンサイジングコンセプト」によるターボ車といえどもターボを効かせた走行をしていると、燃費は同じ排気量のエンジンより悪くなってしまいます。軽自動車のターボでも1リットル当たり12kmくらいの燃費になってしまいます。
ダウンサイジングコンセプトのターボ車は、1クラス上のエンジンを持つ車より低燃費であると考えるのがいいでしょう。660ccの軽自動車でありながら1300ccクラスの車と同じ性能を発揮し、低燃費である。決して同じ排気量で、パワーもあってしかも低燃費という考えは難しいですね。
ただ、技術の進歩によって燃料の制御がより精密にコントロールできるようになった、機械部品を小さくできたのでメカニカルロスを減らすことができるようになった。
このようなことも含めて従来のエンジンよりはるかに省燃費になっているのは事実です。
また、大きな排気量のエンジンは低速走行時でも、小さなエンジンより燃料を消費します。ダウンサイジングされれば、その分燃料の消費も少なくて済むのです。
ターボの性能アップはどのくらいでしょう?
レースではターボ車に対してまったく違う考え方をしています。
自動車レースでは排気量などによってクラス分けされてレースが行われています。
これは公道で行われるラリーという競技でも同じです。
クラス分けは、屋根があるとかボディの形状とかさまざまなクラス分けがありますが、主に排気量によって分けられています。
ターボ車がレースに参加する際はどのようなクラスになるのか?
排気量で分けると、エンジンの排気量に1.4倍した排気量のクラスになります。
仮に、1000ccのターボ車でしたら、1000×1.4で1400ccになります。
このように同じ排気量の車の1.4倍の性能があるとみなされるのです。
レースに参加するターボ車とダウンサイジングコンセプトによるターボ車では一概に比べることはできませんが、ターボによる性能アップは大きなものがあります。
小さなエンジンで必要なときに大きなパワーを得、普段は小さなエンジンの効率性を得る。
ダウンサイジングコンセプトのターボ車にはこのようなメリットがあります。
さらに税制上もメリットがあります。
ヨーロッパから始まった「ダウンサイジングコンセプト」はこのような多くのメリットがあります。これから日本でも多くのダウンサイジングコンセプトのターボ車が増えてくるでしょう。その中でいろいろな個性を持った車がたくさん生まれてくるともっともっと楽しくなりますね。
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