「亡くなった親に実は借金があった」「実は連帯保証人になっていた」「べつに遺産なんてほしくない」
このようにマイナスの財産が多い人や、相続争いに巻き込まれたくない人は、自分の意思で相続の権利を放棄することができます。これを相続放棄といい、ここではその手続きについて説明していきましょう。
いつから手続きできるのか?
相続放棄は、被相続人が亡くなった時やそれを知った時などの「相続の開始」から3ヶ月以内に家庭裁判所にて手続きを行うことができます。ちなみに、それ以後は相続放棄申請はできませんので注意しましょう。
相続放棄手続きに必要な書類は?
相続放棄の手続きは家庭裁判所に相続放棄必要書類を提出して行います。提出先は、被相続人の最後の住所地に最も近い家庭裁判所で行うので、わからない時は近くの家庭裁判所やそのホームページ、役所などに相談して確認しましょう。
必要書類は以下の通りです。
・亡くなった方の戸籍謄本
・亡くなった方の住民票(家庭裁判所の場所によっては不要)
・相続放棄する人の戸籍謄本
・相続放棄する人の住民票(家庭裁判所の場所によっては不要)
・相続放棄申述書
・収入印紙800円
・郵便切手(家庭裁判所によって異なります。160円~450円ぐらい)
これらの書類以外にも、相続放棄をする人の周りの状況や家庭裁判所によって、提出書類が必要になる場合があります。事前に被相続人の最後の住所地に最も近い家庭裁判所に確認しておきましょう。
「相続放棄申述書」について
「相続放棄申述書」は、家庭裁判所に行って入手する方法と、裁判所のHPで書式をダウンロードする方法があります。
「相続放棄申述書」は必要事項を記入し、認め印を押して家庭裁判所に提出します。記入は相続放棄を希望する人の氏名・住所などの情報、被相続人の氏名・住所などの情報など、それほど難しくはありません。ただ、わからない点などがあった場合は家庭裁判所、弁護士や司法書士などの法律家に相談しながら記入しましょう。
「照会書」と「相続放棄申述受理通知書」について
「相続放棄申述書」を提出すると、後日家庭裁判所から「照会書」という書類が送られてきます。「照会書」とは、家庭裁判所の裁判官が相続放棄についての状況を詳しく確認する書類です。「何故相続を放棄したいのか?」「親族は放棄することに対してどう思っているか?」など、相続放棄に関するいろいろな質問が書かれています。ただ、質問内容は相続放棄の状況によって異なるので、わからないときは家庭裁判所に相談しましょう。
「照会書」の記述内容に問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が家庭裁判所から届きます。「相続放棄申述受理通知書」とは、相続放棄が無事に認められたという通知で、これが届いたら相続放棄手続きはすべて終了。相続放棄が公的に認められたことになります。
相続放棄で注意する点
相続放棄の手続きは以上で終了となります。
実際に相続放棄を行う時、被相続人に多重債務があったり、連帯保証人になっていたりと親族同士でトラブルなどが発生する場合があります。そうなりそうなときは、一度弁護士や司法書士などの法律家に相談するのがいいでしょう。法律のプロに相談することで、親族や相続人同士のいざこざを解決し、相続放棄手続きもスムーズに行うことができます。
ただ、トラブルが発生しないようなケースであっても実際に相続放棄をする場合は、家庭裁判所に相談、もしくは弁護士や司法書士などの法律家に一度相談した方がいいとは思います。
何故なら、相続放棄申請ができるのは一度しかありません。そのため、本当に相続放棄をしても大丈夫なのか、後悔はしないかなどしっかり考えて相続放棄手続きを行いましょう。
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