仕事で新しい業務を任されて、基本的なことを勉強しなければいけないとき、仕事で合う相手の業界についておおよそのことを把握したいとき、「新書を読む」というのは手っ取り早い手段の一つです。ひとくちに新書といっても、シリーズによって編集方針が大幅に異なります。シリーズごとの特色を知っておくと、その時々の目的に沿った新書を選べます。
学術的な精度が高いが読む負担が大きい
正確な知識が欲しい場合や、後から何度も参考書感覚で使いたいなら、学術的な精度が高いシリーズをお勧めします。代表的なのは岩波新書、講談社ブルーバックス、ちくま新書あたりです。扱うテーマの全体像をきちんと概観でき系統立てた知識を得られます。研究書のような書き方をしており科学的(文系でも科学的かどうかは重要です)な裏付が明記されているので信頼性が高いです。ただし、文章が硬く予備知識なしには読めない場合もあります。中学や高校で苦手科目だった分野の本であれば、読了に相当なエネルギーを要する可能性が高いです。
学術的な精度は期待できないが負担なく読める
会話のとっかかりとして雰囲気を知りたいという程度の目的なら、エッセイ感覚で読める新書を選ぶと楽です。代表的なのは角川oneテーマ新書、新潮新書、PHP新書などです。気を付けなければいけないのは、テーマの一部をクローズアップしていて全体像を示していない本もあるということです。その問題を一面的にしか取り上げていない可能性もあるので、それを念頭に置いて読む必要があります。専門的な本を読む下準備として、1冊目にこうした軽い本を読むという使い方もできます。
上記2つの傾向の中間にあるのが、講談社現代新書、中公新書、朝日新書、文春新書、洋泉社新書などです。これらは本によっては非常に学術色の強い本もあるいっぽう、ほとんどエッセイのような本もあります。本稿で示しているのは、あくまで目安です。必ずしも「このシリーズだから正確で難解/大雑把で平易」という訳ではありません。
仕事に直結する日経文庫
「文庫」と名が付いていますが、サイズは新書です。実務にあたる人を読者に想定して書かれていることが多いので、仕事に直接役立つことが多いです。定期的に書店に行ってこのシリーズをチェックすると、仕事に必要な知識をアップデートするのに役立つかもしれません。
あえて中学生、高校生向けのシリーズを選ぶ
中学生でも理解できるようにと編集されているのが、岩波ジュニア新書、ちくまプリマー新書です。社会人にとって暗黙の了解であるような事でも、律儀に定義を書き親切に説明しているのが特徴です。全く知らないことを根本的に知りたいとき、予備知識ゼロの人に教えなければいけないとき、手に取ってみてください。
創刊の辞を参考にする
新書のシリーズは少なくとも数十種類はあります。自分の目的に合っているか確認する手立ての一つが、新書の巻末に付いている「創刊の辞」です。一般的な傾向としては古いシリーズほど硬い、のですが一概にはいえません。古さ・新しさの他に、編集方針や創刊目的などを読み取ると、目的に合った新書を選びやすくなります。新書という手ごろな媒体を活用して仕事のクオリティ向上に役立てられると良いですね。
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